夢を抱く者たち。夢を阻む者たち。
2023/02/06
こんにちは!小林滉三です。
突然ですが、昨日ある知人のシンガーソングライターのライブを観に行った話をさせてください。
他人の催し物なんて滅多に振り返らないのですが(自分の演奏会すらロクに振り返らない奴。。)、
とても良い刺激をもらえたので。いろんな意味で。
そしてまた、いろいろ考えさせられました。そんな気持ちを忘れたくなくて。
昨日のライブの主役だったその彼とは、サルスエラ(スペインの舞台芸術)を通じて出会いました。
平日は会社員として働いていて、度々出張で全国を飛び回るほどの忙しさ。
そして昨日の会場だったライブハウスのスタッフでもあり、月に2回ほど働きに来ているとか。
彼が路上ライブを始めたのは19歳の時。
その時から数えて、今回は16周年のライブなんだそうです。今までに作詞作曲を手がけた歌は100曲以上。
今でも作り続けていて、昨日もアンコールの最後に新曲を歌っていました。
そして年2回、毎年2月と9月にそのライブハウスで必ずワンマンで歌っているそうです。今も路上ライブ活動を続けながら。
彼のステージは、楽曲も歌もギターもパフォーマンスもMCも
エンターテイメントとしてもの凄く完成されていました。
演奏中、手拍子はもちろん、足踏みや合いの手、一緒に歌う、中にはじゃんけん大会が盛り込まれた歌まであって(しかも勝ち残った人にはちゃんと景品まで用意されてる!!)、お客さんに身体全体を使って楽しんでもらう工夫が随所に散りばめられていて。
前半後半1時間ずつくらいのライブでしたが、時間が経つのがあっという間。
元来まじめな彼が自らのライブ活動と真摯に向き合い、いかにお客さんを楽しませるかを突き詰めて考え、実行してきた経験が存分に生かされていると感じました。
何より歌っている姿が本当に楽しそうで。
そんな彼の今の目標は、
20周年ライブまでに47都道府県それぞれで路上ライブをやって、20周年はホールでライブを開催すること。
夢を語る彼の瞳は、きらきらと輝いていました。
こんなにも生き生きと夢を語ることを、夢を抱き夢を語り夢を追いかけることがこんなにも美しいことを、私は長らく忘れていたのかもしれない。
彼の音楽とは曲調が全然違うし、路上ライブもたぶん一生縁はないだろうけど、
私は私の夢に向かって、真摯に歩き続けよう。
そんなことを思った夜でした。
折しも2日前くらいに、Twitterでとてもショックなツイートを見かけたのが心に引っかかったままで、元気をもらえたのも大きかったです。
そのツイートというのが
「東京藝大が経費削減で、一部の練習室のピアノを撤去することを決めた」というもの。
目を疑うを通り越して、心臓が止まるかと思いました。
藝大の近況を全然把握していなかったのですが、
一部のツイートによるとコロナ禍に入り学費が値上げされ、学食が値上げされ、図書館の新書受け入れを停止し、全館の空調を止め、ついに今度は練習室のピアノを売り始めた、と。
どこまで真実かわかりませんが、少なくとも図書館とピアノの話は本当らしく、
この国の芸術文化の未来を憂えずにはいられません。
今回のブログのタイトル、後半に「夢を阻む者」と書きました。
私は藝大を責めるつもりは全くありません。運営交付金が削減されすぎて、相当な経営難に陥っていることは想像に難くありません。
もちろん「クラファンでも何でもやったらいいじゃないか」と言うのは簡単です。が、仮にも日本トップの芸術大学が、資金集めをしないと成り立たない状況がそもそも異常です。
国立大学が独立行政法人化されて以降、各大学は「研究の成果を」「目に見える形で」提示することが求められ、
それが出来ない大学は予算がどんどん減らされている。
私が学生の頃からこんな話は出ていました。
「芸術の成果」が一体どうやって目に見える形で表せるんでしょうか。
こういう現状のことを"将来世代へのツケ"っていうんじゃないのか。夢を阻む者たちよ。
…願わくば夢を阻む社会から、夢追う人の背中を押す社会へ。
それではまた。
今回もお読みくださりありがとうございました。
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小林 滉三
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